ゴルフスイングを学ぶ理由 vol.391

先週木曜日に森ゼミに参加してきました。
テーマは「ゴルフスイングの原理原則と流行りのスイング」についての勉強会でした。
ふと、自分がなぜゴルフスイングを学んでいるのか考えました。今さらティーチングプロを目指しているわけでもありません。しかし、治療やトレーニングに来る患者さんやプロ選手たちとの会話の中で、必ずゴルフスイングの話が出てくるからです。

トッププロは自分のスイングや取り組みを明確に理解し、しっかり説明できるものです。一方で、まだそこに至らない選手は、取り組みをコーチや他人に任せている部分が多いように感じます。もちろん、彼らも自分が何をしているのかは理解していますが、進むべき方向性や、コーチが導こうとしている道筋を十分に理解していないことが時々あるのです。そして多くのアマチュアゴルファーは、指導者に全てを委ねてしまう傾向が強いようです。

私の接骨院では、体の改善の方向性を一緒に考えることが大切だと考えてきました。理解を持たずに進めるよりも、ある程度の理解があった方が、最終的な成果に繋がりやすいと感じています。だからこそ、ゴルフスイングの話題もこちらから話すことがあります。しかし、受け身のままではいけません。中には「平野先生にすべて教えてもらいたい」と言われることもありますが、それは正しいアプローチではないでしょう。

治療やメンタルケア、トレーニング指導、さらには食事管理まで一人の専門家が全て行えたら、それが一番効率的だと思われるかもしれません。しかし、私はそれが本当に最適なのか疑問に感じます。それぞれの分野には専門家がいて、それぞれが深く掘り下げているからこそ、最良の結果を出すことができるのだと思います。全てを一人で担うのではなく、適切な指導者と協力しながら進めることが、選手にとっての最善策だと信じています。

さて、28日土曜日は「ひらの接骨院出身者による勉強会」では、私が登壇し、ゴルフスイングと治療の関係についてお話ししました。今回のテーマは、「ゴルフスイングの特徴と治療法・評価に基づいたスイングに起因する傷害の改善法」。

例えば、ゴルフやテニスでよく知られている「ゴルフ肘(内側上顆炎)」や「テニス肘(外側上顆炎)」は、多くの人が医療機関や接骨院で診断を受け、「ゴルフ肘だった….」と、安心してしまうことがよくあります。

20年前であれば、ある程度の休息を取ることが治療の一環とされ、回復を待つという時代でした。しかし、今の時代では、ただ休むだけでは不十分です。もちろん、正確な診断は重要ですが、なぜその怪我が発症したのか、その根本原因をしっかり見極めることが欠かせません。練習のしすぎが原因の場合もありますが、それだけではなく、スイングのメカニズムそのものに問題があるケースも少なくないのです。

問題は、そうした動作の分析や改善を提供できる人材が少ないこと。まだまだ少ないということです。病院では理学療法士が関わる場合もありますが、ゴルフのように運動の特定の動作に基づく傷害の改善には、専門的な知識が求められます。単に痛めた箇所を治療するだけでなく、その動作そのものを見直し、正しいフォームや負荷のかけ方を指導することが、再発防止に繋がります。

森ゼミで得たヒントをもとに、私はこの勉強会で、ゴルフスイングの原理を理解し、それを治療と結びつける方法論についてお話しする予定です。ゴルフ肘の治療だけでなく、怪我の原因となるスイングの問題を見つけ、患者さんや選手に最適なアプローチを提供できる人材を育てるためには、ゴルフスイングを学ぶことが不可欠であると考えています。このような視点から、参加者には実践的な知識と方法論を提供できればと思います。