言葉には力がある。
特に、人生をゴルフに捧げるプロゴルファーや、身体の不調に悩む患者さんを相手にするとき、伝える言葉の選び方が結果を大きく左右することがある。言葉を慎重に選ぶのは、その場限りの対応ではなく、日々の経験と学びの積み重ねが自然と音(言葉)に乗ることが理想だと思う。治療や指導において、手技や技術の高さだけでなく、言葉でいかに相手を導けるかが、真の「ゴットハンド」や名コーチとしての資質だと感じている。
言葉には人生を変える力がある
伝える内容そのものが正しくても、選ぶ言葉が適切でなければ、相手に真意が伝わらないことがある。プロゴルファーにとって、スイングの指導やアドバイスは時に繊細で、1つの言葉が彼らのプレーに劇的な変化をもたらすことがある。しかし、その言葉が曖昧であったり、彼らの経験や感覚に合わなければ、逆効果になることもあるだろう。
言葉選びの重要性は、プロゴルファーを指導するスイングコーチに限らない。治療の現場でも、患者さんに対してどのような言葉を使うかが、その人の治療効果に影響を与えることが多い。手技がいくら一流であっても、コミュニケーションが不十分であれば、患者さんは本当に必要としている情報を受け取れないかもしれない。例えば、痛みの原因や改善方法を説明する際に、難しい言葉を並べるよりも、患者さんが理解しやすいように工夫された説明の方が信頼関係を築きやすい。
そう..そうだね
プロゴルファーにしても、患者さんにしても、自分が求めている状態にそっと寄り添うような言葉があると、安心感を与え、より前向きな行動につなげることができる。「それだね」「そうそう」と相手が共感できる瞬間を作り出すことが、重要なポイントだ。こうした瞬間が積み重なることで、信頼関係が深まり、アドバイスや治療がより効果的になる。
たとえば、今朝訪れた女子プロゴルファーのメンテナンスでも、1時間の施術を通じて、彼女の体の様子を丁寧に確認し、最後には現在の取り組みについて伺った。彼女は「こういうふうに動きたいけど、コースではこうなる」という話をしてくれたが、また苦手だとする動きも明確であった。その時も私は、彼女の感覚に寄り添いながら、アドバイスをしました。もし無理に押し付ける言葉を使っていたら、彼女の中にある疑問や不安に応えられなかったかもしれない。
言葉は道具であり、時にはその言葉自体が相手の考えや行動を変える。伝えたいことがあったとしても、それをどう伝えるかによって、結果は大きく変わる。プロのアスリートや患者さんと向き合う時、私は常に、ただ知識や技術を提供するのではなく、その人が心から納得できるような言葉を選ぶよう心掛けている。
だから学び続ける必要がある….