男子ゴルフツアーの会場から一本の電話が入りました。ちょうど接骨院は昼休みを過ぎたところ。
「平野さん…痛くて棄権しそう、どうしたらいいだろう。」選手は故障を抱えたまま今シーズンを戦っていました。こうした経験を何度か繰り返すものの、不意に痛みが出てきたと言います。電話の内容から、自分ができる施術ではなくドクターの診察を進めることにしました。
【選択の経緯】
以前に、東京のドクターを受診していました。検査結果も聞いてはいましたが、その内容は選手からのみ。病状説明のみだったとききました。「プロゴルファーを続けるにあたり今後必要なこと」の対策がなく、平野に相談をしてくれたことからはじまりました。
次に同じような痛みが出たら、「良い先生が居るからそこを受診してほしい」と伝えていました。
その理由は、選手の症状を自分が直接聞けること。トレーニングや今後のコンディショニングを行うにあたり、現状をしっかり把握して置く必要があるからです。勿論選手の同意あってのことです。すぐにドクターに連絡をいれ、週明け月曜日に受診の予約を取ることができました。
月曜日、飛行機で羽田に着いた選手は、そのまま横浜のドクターを受診。検査を受けることができました。
その後、選手から、ドクターからと双方から連絡が続きます。患者さんでも選手でも、医師の説明をどう受け取るかに個人差があるように思います。両者から入ってくる情報に相違がないか、念の為、全てをカルテに残しておきますが、珍しく「情報に相違ありませんでした」。
さらに今回はドクターから、骨格形状の特徴とトレーニング指示も加味されていました。
その後、試合に出場することを決めます。そのまま羽田から次の会場に飛び経ちました。
週明け、ようやく会うことができました。トレーニングメニューの変更は幸い必要なく、改めて今後の進むべき方向を確認します。
今回の来館で、選手がコーチを連れてきてくれました。今の状況を動きをつけながらコーチに解説することができます。ドクターの見解、トレーナー・施術者としての見解をストレートに伝え、コーチの方針と調整をとります。
するとコーチは、アドレスの最良ポジションを指導し始めます。
コ「平野さんこうならどうだろう」
コ「普通ならこれはOKのはずが、彼の場合はNGということ?」
平「そうです。」
コ「ではこれはアリ?」
平「アリです、というより今の理想形かもしれないです」
型にこだわらない指導方針ならではのスピード感ですが、選手の身体特徴を知った上で次々にアイデアが出てきました。
選手をサポートするチームだとしても、日常それぞれがプロフェッショナルとして仕事をしているケースがほとんどです。一人の選手だけサポートとはいかず、皆が集まれる時間は皆無に等しい。それゆえ、今回のようなケースでは統合役が必ず必要でしょう。
選手を傷害から守るために、また1年でも長くプロゴルファーを続けられるためにも医師を交えたサポート体制は必要でしょう。
平野が統合役で各人の通訳だとしたら、選手のゴルフ・フィジカル・メンタル・気質を理解し、コーチの指導方針を理解できること。また医師の説明を十分理解するために医学の専門知識も備えるべきでしょう。