骨折の治癒経過(柔道整復を学ぶ・シリーズブログvol.009)

 

骨折の治癒経過――骨が再び強くなるまでのプロセス

骨折が治癒するまでには、体内で驚くべき再生プロセスが進行しています。この治癒経過は3つの大きなステージに分けられ、それぞれが重要な役割を果たします。今回は、骨折の治癒プロセスを解説するとともに、回復をサポートするポイントを紹介します。


骨折の治癒プロセス

1. 炎症期(骨折直後~数日間)

  • 骨折による損傷で血管が切れると、血液が骨折部位に流れ込み「血腫(けっしゅ)」が形成されます。
  • この血腫は、後に新しい骨を形成するための足場となります。
  • 痛みや腫れ、発赤といった炎症反応が現れます。

2. 修復期(数週間~数か月)

  • 血腫が徐々に線維性組織や軟骨に置き換わり、「仮骨(かこつ)」が形成されます。
  • 骨芽細胞が活発に働き、新しい骨組織が生成されます。
  • この時期はギプスや固定具で骨を安定させることが重要です。

3. 再形成期(数か月~1年以上)

  • 仮骨が硬い骨(緻密骨)に置き換わり、骨の強度が回復していきます。
  • 骨梁(骨の内部構造)が再編成され、元の骨の形状や機能が再生されます。
  • リハビリを通じて筋力や可動域の回復が進みます。

治癒経過に影響を与える要因

  • 年齢: 若年者ほど治癒が早い。
  • 栄養状態: カルシウム、ビタミンD、タンパク質の摂取が治癒を促進します。
  • 血流: 骨折部位への血流が多いほど回復が早まります。
  • 固定とリハビリ: 適切な固定とリハビリが、治癒の質を高めます。

治癒をサポートするためのポイント

  1. 医師の指示を守る

    • 治療計画を順守することが最も重要です。
  2. 適切な栄養摂取

    • 骨の成分であるカルシウムやビタミンDを意識的に摂りましょう。
  3. リハビリテーションの実施

    • 固定が解除されたら、筋力や関節の可動域を回復させるためにリハビリを開始します。
  4. 禁煙

    • 喫煙は血流を妨げ、骨の回復を遅らせる可能性があります。

まとめ
骨折の治癒は、炎症期、修復期、再形成期という3つのステージを経て進行します。それぞれの段階で適切なケアを行うことで、早期の回復と再発防止につながります。

次回は、骨折の予後についてお届けします。骨折後の生活への影響や、回復後の注意点について詳しく解説しますので、ぜひご期待ください!

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