【チアダンスで起こる肩の捻挫】柔道整復師が解説|原因・症状・予防法とは?

今回は、チアダンスで多い肩の捻挫(亜脱臼含む)について解説します。

チアダンスは華やかなパフォーマンスの裏に、繊細なバランスや連携プレーが求められるスポーツです。その中でも特に「スタンツ」や「ジャンプキャッチ」など肩に急激な負荷がかかるシーンでは、肩関節の捻挫や亜脱臼が起こりやすくなります。

肩関節の捻挫とは?

肩関節は「関節包」や「靭帯」によって支えられている非常に可動性の高い関節です。しかしその分、不安定さもあり、瞬間的に大きな力が加わることで関節がズレるような形で負担がかかり、関節包や靭帯が損傷する状態を「捻挫」と呼びます。

どういった場面で起こりやすい?

チアダンスの中でも特に以下のような場面で発生しやすいです。

【1】スタンツでフライヤーを持ち上げる・支えるとき

•ベース(下で支える役割)の子が、バランスを崩しながら腕を引っ張られたり、急に荷重がかかったときに肩関節が外れかけるような動きに。

【2】フライヤーの着地を受け止めるとき

•腕を伸ばした状態で全体重を受け止めるため、肩に大きな剪断力が加わり、関節がズレやすい状況に。

【3】反復動作による疲労の蓄積

•日常的に肩関節に負担が蓄積されていると、些細な動作でも「ズレ感」「抜け感」が生じやすくなる。

特徴的な症状

肩を上げるとズキッと痛む

•腕を動かすと「抜けそうな感覚」がある

•肩前方〜外側にかけての圧痛や違和感

•肩の可動域が制限される

•「ポキッ」と鳴った後から違和感が続く

※亜脱臼を繰り返すと、**反復性肩関節脱臼(習慣性脱臼)**へと進行するケースもあるため注意が必要です。

何に気をつければ良い?

1. 肩周囲の筋力(特にインナーマッスル)を高める

•棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋(=ローテーターカフ)のトレーニングが重要です。

•チューブトレーニングや体幹と連動した腕の動かし方を意識しましょう。

2. 肩甲骨の安定性と可動性を保つ

•肩甲骨の動きが悪いと肩関節単体に負担が集中します。

•前鋸筋・僧帽筋下部・菱形筋の活性化もポイントです。

3. フォームの見直しと連携確認

•「チーム全体での連携」がずれると、無理な力が一人に集中して怪我をしやすくなります。

•ビデオでフォーム確認、コーチとのコミュニケーションを密に。

柔道整復師からのアドバイス

肩の痛みや違和感をそのままにしてしまうと、怪我の再発リスクが高まり、最悪の場合競技復帰まで長期の時間がかかることもあります。

「ちょっと違和感があるな…」と感じた時こそ、体の専門家に相談して早期の対応をすることが、ケガを未然に防ぐコツです。

次回は症例報告をしていきたいと思います!

2025年8月
« 7月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31