ケガからの復帰シリーズ:全5回 第1回 痛みがなくなった=元通りじゃない!

焦らない復帰のための“ステップリハビリ”のすすめ

ラグビーの現場では、ケガからの復帰を焦ってしまう選手をよく見かけます。
「もう痛くないから大丈夫です」と、いきなり全力で走ったり、チーム練習に復帰したり……。

でも、“痛みがない”と“完全に回復した”はまったくの別物です。
今回は、ケガからの復帰で大切な「トレーニングの順番」と「安定性(スタビリティ)」の重要性についてお話します。


ケガから復帰するための正しいステップ

ケガをしてしまったら、次のステップでリハビリ・トレーニングを行うのが理想です。

①【痛みを取る】

まずは患部の炎症や腫れを抑える段階。
この時期に無理をすると、症状が長引いてしまいます。

②【可動域・筋力の回復】

痛みが引いたら、関節の動きや筋肉の機能を元に戻します。
ここでのポイントは、「動くようになった=OK」ではなく、「しっかり使えるようになる」こと。

③【スタビリティ(安定性)の獲得】

ここがとても大切。
ケガをした部位だけでなく、その周辺の関節の安定性も取り戻す必要があります。

例えば足首の捻挫なら、足首そのものに加え、膝や股関節の安定性も影響します。
不安定なままで走ると、体は代償動作(変なクセ)を起こし、他の部位までケガしてしまうリスクが高くなります。


焦って復帰した選手に起きやすいこと

ラグビーの現場でよくあるのが、

「痛くないのでジョグから始めたんですけど、翌日からまた痛みが出てきて…」

というケース。

これ、多くはスタビリティの不足や、筋力・動作の未回復が原因です。

「練習に出たい」「遅れたくない」という気持ちはよく分かります。
でも、焦った結果、逆に復帰が遅れることもある
だからこそ、“順番”を守ることが何より大切なのです。


足首の捻挫を例にしたステップリハビリ

ケガの部位によって内容は変わりますが、一例として足首の捻挫の場合は以下のように進めていきます。

  1. 足首の可動域の回復(曲げ伸ばし・回旋)
  2. ふくらはぎやスネの筋力トレーニング(つま先、踵歩きカーフレイズ)
  3. 片脚立ちやジャンプ着地の安定確認
  4. 直線ジョグ → コーナー走 → スプリントへ段階的に
  5. 最後にコンタクトや試合形式の練習を導入

このように、**「まず整える」→「段階的に負荷を上げる」**という流れがとても重要です。


まとめ:焦らず、段階を踏むのが一番の近道

ラグビーはコンタクトスポーツなので、ケガの再発がパフォーマンスやチームに与える影響も大きいです。
選手自身はもちろん、指導者・トレーナー・保護者も含めて「復帰のステップ」を共有しておくことが大切です。

焦って遠回りするよりも、正しく回復して最短で復帰する
これを意識して、選手の身体と向き合っていきましょう!

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