スイングは理想であり、目標であり。vol.16

痛みの軽減だけでは解決しない
平野とゴルフフィットネスとの出会いは今から25年前になります。ゴルフにより腰を痛めたり、手首を痛めた方の怪我の処置を柔道整復師として行う日常でありました。中には「ゴルフは腰が痛くなるから辞めた」という声も聞こえていた時代でした。痛みだけ軽減させる毎日では、どこかやりがいを感じにくいところでありました。

ゴルフスクールでの出来事が
しかしそこから数年後、たまたまゴルフ上達をきっかけに始めたスクールでの出来事が、ライフワークにもなるきっかけとなります。
”スクール生の身体を診てほしい”とコーチに頼まれたのです。聞くところによると、なかなか指導通りにうまくいかない方だというのです。
「上達が遅い⁈または緩やかな理由が体にあるのか」そんな声かけで見させていただいたところ、下記の症状が明らかに出たのです。肩関節の柔軟性低下。特に外旋可動域の低下が顕著でした。その場で数分の施術を行い、可動域が改善したところで改めてショットを打っていただいたところ、「これまでの指導はなんだったのか?」とコーチが驚くほど変化が起きたのです。

柔道整復知識がゴルフに役立つ
身体を痛めた方だけではなく、スイング技術向上にも役に立てることに気がつき、そこからさらに学び始めます。

タイトリストパフォーマンス研究所 
スクールでの出来事から15年後、日本にTPIのセミナーが訪れます。TPIとは、タイトリストパフォーマンス研究所(Titleist Performance Institute、TPI)は、ゴルフクラブメーカーであるタイトリスト(Titleist)が設立した研究所です。TPIは、ゴルフのパフォーマンス向上に関する科学的な研究やデータ収集を行っており、ゴルファーのパフォーマンスを最適化するための情報やトレーニングプログラムを提供しています。TPIの研究所は、私も仲間と訪れましたが、カリフォルニア州オーシャンサイドに位置しており、ゴルフに関するあらゆる側面を研究しています。その注目は、ゴルファーのフィジカルフィットネス、バイオメカニクス、クラブ、パフォーマンス心理学などがあります。

ゴルフのための身体作り ゴルフフィットネス
ゴルフフィットネスとは、トレーニングをイメージしますがそれだけではありません。
ゴルフプレーヤーがゴルフスイングのために必要な運動能力を向上させるためのフィットネスプログラムことを言いますので、手技や整体で改善することもその一つと言えます。近年、プロに限らず、日本のアマチュアゴルファーにも広がりを見せ、ゴルフフィットネスは、ゴルフプレーヤーがスイング力の発揮と制御、正しい体重移動、バランス、柔軟性等を改善することを目的として取り入れられるようになってきました。

ゴルフに柔軟性や協調・正確性
ゴルフは、体力や柔軟性、バランス、協調性、正確性など、多様な能力が必要なスポーツの一つ。正しいフィットネスプログラムを実践することで、ゴルフプレイヤーはスイングの効率性を高め、より正確で制御の効いた運動を可能にし、ゴルフプレーヤーのケガを最小限に止めることに貢献できるでしょう。

スイング側からと身体側から
ところで、ゴルフを始めるどんな方でも、「先ずは体力をつけて」というよりも、スイングから覚えることから始めています。体力差・性差・年齢差・運動歴の違いがあっても、私自身もですが、クラブの振り方から習い、ゴルフスイングがどうのこうの…

 

ゴルフに必要な基礎体力

持久力

ショットそのものは瞬発的な力。一発爆発力ですが、長時間歩くスポーツであり、ラウンド中、長距離を移動することが多いスポーツ。2万歩前後にもなると言います。よって持久力が必要でしょう。ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動を取り入れることで、持久力を向上させることができますので、ゴルフのために体力作りをしたいと考えた場合、先ずは”歩くこと” ”歩行力”を養うことをお勧めします。

筋力

ゴルフスイングには、腕や背中、脚などの筋肉が必要です。 特にゴルフは上行性筋連鎖でエネルギーを伝達するスポーツですので、下半身の筋肉はとても大切。体重移動やスイングの制御にも大切であります。ダンベルやゴムチューブを使って筋力トレーニングを行うことにより筋力を向上させることができます。

パワー

ゴルフショットには、一瞬のパワーが必要です。パワーを高めるためには、スクワットやランジなどの下半身の筋力トレーニングが代表的ですが、トレーニングをしたことで、すぐに効果が現れるとは限りません。最終的には高い重量を挙げることよりも、ゴルフスイングの中で力を発揮できることを求めていきます。

柔軟性

ゴルフスイングには柔軟性が必要です。特にアマチュアゴルファーの場合は、この柔軟性に手を入れることで、スイングが改善するケースが非常に多いでしょう。整体・ストレッチや、自分でヨガ・ピラティスなどの柔軟性トレーニングを取り入れることで、ゴルフスイングを向上させることができます。

代表的なスイングエラー ”BIG16″から改善策を考えよう
しかし、「歩くのは大切だろうけど…」「筋力も少ないよりは多い方がいいのは知っているけど…」実はなかなかの遠周りになります。こうしたプログラムの継続できる人はそう多くないはずです。それよりも日々の練習やスクールの中で、コーチやゴルフ仲間から指摘されることは、同じだったりしませんか。今回のコラムではなかなか改善できない代表的なスイングエラーの原因をTPIの”BIG16”を用いながら全16回シリーズでご紹介していきたいと思います。お読みいただけたら幸いです。