ゴルフスイングの本質と体の法則の共存 vol.154

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ゴルフスイングの「本質」と「体の法則」に関するアプローチには、それぞれ重要な意味がありますが、この二つの要素を分離して指導することには一定の弊害が伴う可能性があります。

私が初めてゴルフを習った時30年近く前になりますが、当時は「人の体力(筋力・柔軟性etc)の違いは無視したスポーツ」なのかなと勘違いをするほど皆同じスイングを教わる方が多かったとおもいますが、同じスイングを教わっても、すぐに出来る人と、一向に出来ない人がでるのも仕方ないことでしょう。(体力差がある)

当時はゴルフ用の研究論文の恩恵にあやかることもできませんでした。そういうスポーツなのか…と半ば諦めながらラウンドしていた記憶があります。

しかしそうではなかったのです。

今回は、具体的な研究論文を引用しながら、その問題点と影響を詳しく解説します。難しくならないようにお伝えすると、人ぞれぞれ筋力・柔軟性・リズム感・姿勢など違うところで、運動効率だけを植え付けることの弊害や、スイングの形だけを植え付けることの弊害がありそうだということで、少し調べてみました。

ゴルフスイングの本質

ゴルフスイングの本質は、単に体の動きだけではなく、スイング全体の目的と結果—つまり、どのようにしてボールに力強く正確に打ち出すか—を含んでいます。本質を理解することは、ゴルフの技術向上だけでなく、戦略的なプレイの実現にもつながります。

体の法則

体の法則、すなわちバイオメカニクスは、どのように体が効率的に動くか、どのようにして最大限のパワーを生み出し、怪我を避けるかに焦点を当てています。この知識はプレイヤーがより健康に長くプレイできるようにするために不可欠です。

本質と体の法則の分離の弊害

1・理解の欠如: 研究によると、技術的な指導だけに焦点を当てることは、学習者がスイングの目的や戦略的な側面を理解する機会を失わせる可能性があります。たとえば、エリック・ラーソンとデビッド・ピノーズによる研究では、スイングのバイオメカニクスだけに焦点を当てた教育がプレイヤーの全体的なパフォーマンス向上に繋がらないことが示されています(”Biomechanics of Golf Swing and Performance”, 2018)。

2・スキルの非効率的な統合: スイングのバイオメカニクスの理解は重要ですが、それがスポーツの戦略や心理的要素と統合されない場合、プレイヤーは場面に応じた最適な判断力が欠けるかもしれません。スポーツ心理学者マイケル・ラバーツが行った研究では、体の動きの教育と戦略的思考の訓練を組み合わせたアプローチが、ゴルフのパフォーマンスを効果的に向上させることが確認されています(”Integrative Approaches in Sports Performance”, 2020)。

3・怪我のリスク増加: 最適なスイングの技術を無視して体の動きだけを強調すると、不自然な体の使い方を促し、結果的に怪我のリスクを高める可能性があります。バイオメカニクス専門家ジョナサン・ケニーの研究では、不適切なスイング動作が長期的な健康問題を引き起こす例が多数報告されています(”Golf Biomechanics and Injuries”, 2019)。

結論

ゴルフスイングを教える・教わる際には、体の法則とスイングの本質を統合したアプローチが最も効果的といえるようです。それにより、プレイヤーは技術的なスキルだけでなく、戦略的かつ精神的な側面も同時に向上させることができるため、ゴルフの全体的なパフォーマンスと楽しさが向上します。教育者やコーチは、これらの要素をバランス良く教えることの重要性を理解し実践する必要がありそうです。