エネルギーの源泉・内向・外向的アスリートと応援ダイナミクス vol.186

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SNSの広がりの中で、特に女性芸能人やアスリートに対する誹謗中傷が問題となっています。イップス関連のコラムを描いた勢いで、MBTI(マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)などの性格診断ツールを用いて、応援や外部からのサポートに対する反応が異なる性格タイプについての理解がさらに深まりました。

性格によっては、大勢の応援を受けることでモチベーションが高まり、パフォーマンスが向上するタイプと、静かで控えめな環境でより集中し、力を発揮するタイプが存在するようです。ご自身がどんなタイプであるかわかった上で読んでいただけると良いかもしれません。

応援されて力が増すタイプ

外向的な性格(E)

外向的な性格を持つ人(例:ESTP、ENFJなど)は、他人との相互作用からエネルギーを得る傾向があります。大勢からの応援や周囲の熱気によって刺激を受け、より良いパフォーマンスを発揮することが多いようです。

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応援が控えめな方が力を発揮するタイプ

内向的な性格(I)

内向的な性格を持つ人(例:ISTJ、INFPなど)は、静かな環境でのほうが集中しやすく、落ち着いて自分の力を発揮できます。大勢の応援よりも、個別のサポートや静かな励ましが効果的な場合があります。

これらの特徴を理解することで、個々のニーズに合わせたサポートや環境設定が可能になり、それぞれのタイプの人が最大限の能力を発揮できるようになります。性格タイプによって応援の受け取り方が異なるため、自分自身や他人の性格を理解することが、個々のポテンシャルを最大限に引き出す鍵となりそうです。

メリット・デメリット

SNSを通じたファンとの交流により、直接の応援がアスリートにとって有益であるように思われますが、SNSの利用には、メリットとデメリットがあり、個々の性格や状況によって最適なアプローチが異なるようです。

メリット

ファンとの接続
SNSはアスリートがファンと直接コミュニケーションを取り、自身のブランドを築く手段として有効です。これにより、広い支持を受けやすくなります(Alexander, 2020; Hambrick et al., 2010)。

情報の発信
自らの成果や活動を効果的に共有し、メディアを通じて自分の言葉で物語を語ることができます(Alexander, 2020)。

Sport outdoor. Beautiful girl on the street

デメリット

オンラインでの虐待
SNSはしばしばオンラインでの虐待やネガティブなコメントの場となり、アスリートの精神的健康に悪影響を及ぼすことがあります。特に女性アスリートは、オンライン上での虐待の主なターゲットとなることが多いようで、よく耳にします。(Marino, 2022; Coe, 2022)。

パフォーマンスへの影響
ネガティブなフィードバックや過剰な自己意識はパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあり、特に大事な競技前には集中を妨げる要因となることがあります。精神的な疾患に陥り、現役を引退した例もあります。(Alexander, 2020)。

アスリートがSNSを利用するかどうかは、その人の性格、精神的な強さ、そして周囲のサポートシステムの有無によって左右されることがわかってきました。自己のアイデンティティや自尊心が安定している場合、SNSのネガティブな側面を乗り越えることができるかもしれませんが、一方で、SNSが引き起こすストレスに敏感なアスリートにとっては、その使用を避けるか、または限定的にすることが推奨されます。

これらのポイントを考慮に入れつつ、アスリート個々のニーズに応じた適切なSNSの使用戦略を策定することが重要です(Alexander, 2020; Marino, 2022)。

まとめ 教育と啓発

プラットフォームの技術的対策や法的・規制的な枠組みにより安全に利用できることや罰則の強化も必要でしょう。しかしながら利用が先行し、事故が起きてからの対策になることが多いため、アスリート・また一般ユーザに対するに下記のような対策が緊急的に必要ではないでしょうか。

アスリート自身への教育
アスリートに対し、SNSのリスク管理や個人情報の保護方法、心理的なサポートを利用する方法についての教育を提供します。これには、SNS使用の心理的影響についての理解を深めるプログラムなど。

ファンと一般ユーザーへの啓発
SNSの利用者全体に対して、オンラインでの振る舞いの倫理についての啓発活動を行い、誹謗中傷の具体的な影響について理解を促進します。