ゴルフトレーナーの地位向上への道 vol.205

ゴルフトレーナーを務めて20年以上になります。
これまで選手との契約は、エージェントを挟まず全て直接行ってきました。信頼に基づく口約束は理想ですが、契約時いい時ばかりではありませんので、互いの信頼前提で契約書を交わすことを常としていました(普通のことなのですが…)。
平野自身が選手と契約を結ぶケース、会社として契約し従業員を担当させるケース、または選手から依頼されて自社以外でトレーナーを探す契約など、二桁におよびます。ただし、選手に寄り添うトレーナーの必要性は高まっているとしても、その報酬を含む労働条件は、選手の理解に依存するところがあり、全体的にはまだまだ改善の余地が残されていると思っています。

アスリートをサポートするスタッフとして、大谷翔平選手の通訳さんのポジション(報道等で見ている限り)は、大変魅力的で夢があると思っていました。現在は残念な状況ではありますが、選手の活躍に貢献できる職種、トレーナーもまたあのような待遇を得られたら非常に夢があります。

さて、選手をサポートするトレーナーの地位がいまだに変わっていかないのは、様々な要因があると思いますので、ここにまとめてみます。

要因

契約の安定性の欠如

ゴルフトレーナーは通常、選手との個別契約に依存しており、これがしばしば不安定な収入につながります。選手のパフォーマンスや健康状態によって契約が変動するため、収入が不安定になることがあります。

専門性の認識不足

ゴルフトレーナーの専門性やその重要性が十分に理解されていない場合、社会的な地位や報酬が低く抑えられがちです。トレーナーの役割が選手の成績向上に直接寄与しているにも関わらず、その貢献が適切に評価されていない可能性があります。

業界内の交渉力不足

個々の契約に依存することが多いため、業界としての団結や交渉力が不足しています。これにより、適正な報酬や労働条件を交渉することが困難になっている場合があります。

キャリアの透明性

将来的なキャリアパスが不明確であり、長期的な職業としての魅力が低く感じられることが、報酬や地位向上に影響しています。

解決策

専門教育と認定

トレーナーとしての専門教育プログラムを強化し、国家資格や認定制度を設けることで、専門性を社会に認知させ、専門家としての価値を高めます。トレーナー自身が専門知識を深め、継続的な教育を受けることで、その専門性を認められるようになります。資格の取得や最新のトレーニング方法の習得が、専門家としての評価を高める手段となります。

業界団体の強化

トレーナーが業界団体に加入し、団体としての交渉力を高めることが重要です。労働条件や報酬の基準を業界全体で設定し、適正な評価を受けるための基盤を作ります。

公開研究と成果の共有

トレーナーが選手のパフォーマンス向上に寄与している具体的な研究結果や事例を公開し、その専門性と効果を広くPRすることで、社会的な認識と評価を向上させることができます。

キャリアパスの明確化と多様化

長期的なキャリアパスを明確にし、トレーナーが異なる分野やポジションへのステップアップを図れるようにすることで、職業としての魅力を高めることが重要です。

認知度の向上

トレーナーの重要性を広く伝えるための広報活動を強化します。トレーナーが選手のパフォーマンス向上にどのように貢献しているかを、事例を交えて紹介することが効果的です。

業界との連携

トレーナーの団体や協会が、ゴルフ関連の他の業界団体と連携し、共同でイベントを開催したり、研究を進めたりすることで、業界全体の利益に貢献します。これにより、トレーナーの地位が業界内で向上します。

公正な報酬システムの構築

トレーナーの労働に見合った報酬を確保するために、適正な報酬体系の確立が必要です。団体交渉や契約の標準化を通じて、公平な待遇を求める動きが求められます。

利益相反の管理

トレーナーと選手、または業界の間で利益相反が生じないように、透明性を持って関係を築くことが重要です。この透明性が信頼を生み、長期的な関係構築に寄与します。

成功事例の共有

成功したトレーニングの事例を共有し、トレーナーの貢献を明確に示すことで、業界内外にその価値を認識してもらうことが大切です。これは、トレーナーのプロフェッショナリズムを高めるだけでなく、選手やその他の関係者との良好な関係を築く基盤となります。