西郷真央プロ、静かなる頂点
〜静かなる強さ、その一打に込めて〜
カールトンウッズ。
最終グリーン。
すでに他の4人はパーで上がっていた。
西郷真央プロ、ただ一人が勝負を託された。
観客席を包む静寂。
緊張は、誰の目にも見えなかった。
西郷真央プロは、両手の汗を拭い、淡々とした所作でボールを見据え、パターを握ったように見えた。
ストロークは揺るぎなかった。
ボールは正確なラインを描き、カップに吸い込まれた。
歓声が沸き上がるなか、
彼女は静かに、確かに、メジャーの頂点に立った。
後のインタビュー。
西郷プロは、短く、しかし重みのある言葉を口にした。
「自分のために動いてくれているチームの気持ちを背負って戦ってきたので」
そして、ふと漏らした。
今もあの感覚がある…、あの瞬間、手が震えていたことを。
普段、プレー中の心情を語ることの少ない彼女が、
わずかに内面を明かしたその言葉に、
積み重ねてきたすべての時間と、覚悟の深さが滲んでいた。
震えは、恐れではなかった。
背負う責任の重さ、
支えてくれたすべてへの感謝、
そのすべてが指先に現れたのかもしれない。
23歳、西郷真央。
静かなる決意は、世界を動かし、永遠となった。
真央ちゃん、優勝おめでとう