
身体の声に応える挑戦
――「学生応援メンテナンスメニュー」を始めた理由――
「これはケガになりますか? それともメンテナンスですか?」
そんなふうに聞かれることが、実は少なくありません。
一見すると簡単な問いのようですが、実際にはとても悩ましい問題だったりします。
ケガであれば、療養費を利用して保険での施術が可能です。
骨折や捻挫、打撲、挫傷といったものがその対象になります。
でも、実際の現場では「その手前」にある状態に向き合うことが本当に多いんです。
たとえば、部活の練習で疲労がたまっている、
長時間の勉強で肩や腰が重たい、
なんとなく体がだるくて集中できない。
そういった状態は、ケガとは呼べないかもしれません。
でも、明らかに「何かが起き始めている」サインなんですよね。
このたび、そうした学生たちの声に応えるために、
18歳以下を対象とした「学生応援メンテナンスメニュー」をはじめました。
▷ 15分:2,200円(税込)
▷ 30分:4,400円(税込)
▷ 30分×5回チケット
このメニューは、ケガの治療ではなく、
“疲れや不調を溜めないように整えていく”ことを目的とした自由診療です。
少し違和感があるけど部活は休めない、
受験勉強の合間に体調を立て直したい、
そんなときに、気軽に相談できる場所として活用していただけたら嬉しいです。
もちろん、保険が使えるケガと、自由診療となるメンテナンスには制度上の線引きがあります。
でも、実際の体にはっきりとした「境界線」があるわけではありません。
「ここからがケガ」「ここから先はメンテナンス」なんて、
身体に線を引けるわけではないんですよね。
そのときの状態や症状、そして学生さんやご家族の想いに耳を傾けながら、
一緒に必要なケアを考えていくことが何よりも大切だと思っています。
おそらく、同じような想いを抱えている柔道整復師の先生方も多いのではないでしょうか。
制度と現実の狭間で、判断を求められる場面は本当に多いですし、
きっと日々ご苦労されているんだろうなと感じます。
だからこそ、今回のメニューは、
制度では拾いきれない“今の声”に、ほんの少しでも寄り添えたらと思ってつくりました。
「痛くないけど、なんとなく不調」
「ケガじゃないけど、診てもらえたら安心」
そんなときの“受け皿”として、使っていただけたら幸いです。
今のうちに身体と向き合う時間を持つことは、
きっと将来のケガや不調を防ぐことにもつながっていきます。
私たちは、頑張る学生さんたちを、これからもそっと応援していきます。
アカデミックポイント
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療養費制度とは?
骨折・捻挫・打撲などの急性の外傷には、保険での施術(療養費制度)が利用できます。 -
自由診療とは?
ケガではないけれど、全身を整えたい、パフォーマンスを保ちたい、そんなときに使えるのが自由診療です。 -
曖昧な境界に向き合う現場
実際には「ケガとメンテナンスのはざま」にいる患者さんがとても多く、施術者には柔軟な判断が求められています。 -
学生期にこそ必要な予防ケア
成長期の体にとって、早めのケアは大きな予防効果があります。スポーツにも学業にもプラスに働くメンテナンスは、今後ますます重要になります。
このコラムは、学生さんとそのご家族、そして同じように現場で悩みながら日々向き合っている柔道整復師の皆さんへ――。
小さな試みかもしれませんが、“今必要とされるケア”を、ひとつずつ形にしていきたいと思っています。