慢性的な関節疾患と体外衝撃波の相性vol.112

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慢性的な関節疾患への体外衝撃波治療(Extracorporeal Shock Wave Therapy; ESWT)は、非侵襲的な治療法として近年注目を集めています。この治療は、疼痛の軽減と関節機能の向上を目的として、特に膝や肩などの関節疾患に対して有効とされています。以下では、体外衝撃波治療の効果についての研究結果を基に、その有効性を検証します。

体外衝撃波治療(ESWT)とは

体外衝撃波治療は、高エネルギーの衝撃波を患部に直接照射することで、炎症を軽減し、疼痛を管理し、組織の修復を促進する治療法です。この治療は元々、腎結石の破砕に用いられていましたが、その応用範囲が拡大し、慢性的な軟部組織や骨の疾患の治療にも用いられるようになりました。

研究の概要と結果

『Clinical Rheumatology』誌に掲載された研究によると、体外衝撃波治療は膝関節症の患者において、プラセボ治療と比較して有意に疼痛を減少させ、関節機能を改善したと報告されています(Petta et al., 2018)。この研究では、100名の膝関節症患者を対象に、12週間にわたり週1回の体外衝撃波治療を行い、その効果を評価しました。

また、『American Journal of Sports Medicine』に掲載された別の研究では、慢性的な肩の痛み(肩関節周囲炎)に対するESWTの効果を検証し、同様に疼痛の減少と関節機能の向上が見られたことが報告されています(Wang et al., 2016)。この研究では、ESWTが関節内の炎症反応を抑え、痛みの神経伝達を減少させる可能性が示唆されました。

治療の適応と限界

体外衝撃波治療は一般的に安全であるとされていますが、治療を受ける際にはいくつかの点を考慮する必要があります。特に、出血傾向のある患者や、妊娠中の女性、または患部に悪性腫瘍がある場合には適用を避けるべきです。治療後には一時的な痛みや腫れ、赤みが生じることがありますが、これらは通常、数日で自然に解消します。

結論

慢性的な関節疾患に対する体外衝撃波治療は、多くの研究によってその効果が支持されています。ただし、治療の効果は個人差があり、すべての患者に等しく効果があるわけではないため、治療前に医師としっかりと相談し、個々の健康状態や疾患の程度を考慮した上で治療計画を立てることが重要です。

最後に、当院の体外衝撃波のインスタ動画リンクを掲載します。(音量に注意です)

https://www.instagram.com/p/CqcdctmLXbr/