体外衝撃波療法(ESWT)とゴルファーの慢性関節疾患・筋肉痛の治療効果vol.109

体外衝撃波療法(ESWT)とゴルファーの慢性関節疾患・筋肉痛の治療効果

ゴルフは繰り返しの動作が要求されるスポーツであり、特に関節と筋肉に負担がかかります。その結果、慢性的な痛みや疾患が発生することがあります。近年、体外衝撃波療法(Extracorporeal Shock Wave Therapy: ESWT)が、慢性的な関節痛や筋肉の障害治療に有効であるとの研究結果が報告されています。

体外衝撃波療法(ESWT)とは

体外衝撃波療法は、痛みのある部位に対して短いパルスの衝撃波を送る治療法です。この治療は、特に腱の障害(腱炎や腱鞘炎)、慢性的な肩痛、腰痛、ひざ痛に効果があるとされています。衝撃波は痛みのある部位の血流を改善し、自然治癒力を促進することで知られています。

ゴルファーにおけるESWTの効果

ゴルファーが頻繁に経験する肩や肘、膝の慢性的な痛みに対して、ESWTは特に有効です。たとえば、肩のインピンジメント症候群テニス肘といった、ゴルフプレイによく見られる疾患の治療に適用されます。

研究例
一例として、Furia JPによる2005年の研究では、肩のカルシフィックテンディニティス(石灰化腱炎)を持つ患者にESWTを施した結果、顕著な痛みの軽減と機能の改善が見られました(出典: “High-energy extracorporeal shock wave therapy as a treatment for calcific tendinitis of the rotator cuff: A pilot study in 2005.”)。

メカニズム
ESWTは痛みの原因となるカルシウム沈着の分解を促進し、炎症を減少させることによって、痛みを和らげます。また、血管新生を促進し、損傷した組織の修復をサポートします。

実用性と注意点

ESWTは非侵襲的で、一般的な鎮痛剤やステロイド注射に代わる治療方法として注目されています。治療セッションは通常短時間で済み、回復期間も短いため、アクティブなゴルファーにとって理想的です。ただし、適用できる症状や部位には限りがあり、全ての患者に有効であるわけではないため、治療前には専門医や柔道整復師と相談することが重要です。

結論

ゴルファーが抱える慢性的な筋肉や関節の痛みに対して、体外衝撃波療法は有効な治療選択肢の一つとして考えられます。この治療法によって、ゴルフのパフォーマンスを維持しつつ、痛みを管理することが可能になるでしょう。