ゴルフ練習の「量と質」vol.143

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ゴルフスイングの練習において、短時間で多くの球を打つ方法が効果的かどうかは、運動学習の理論を考慮すると興味深い議論の対象となります。

このアプローチが持つ利点と限界について、運動学習に関する研究を基に調べてみました。

日頃多くのゴルファーの患者様に接している中で、平均的な練習時間は1回1時間から2時間程度。2時間以上定期的にされる方は多くない印象です。さらに、球数をお伺いすることがありますが、平均的には100球から150球、多い人で、300球から400球と伺っています。

練習時間は同じですから、ゆっくり打たれている方と、打ち放題のボールを打ちまくる方が結構いらっしゃいます。さて、個人的にはアプローチを入れても300や400は多い印象を受けますが、実際の効果はあるのでしょうか。

1回1回のスイングの質がどうであるかは、ここでは比較できないので、反復練習の研究情報を掲載しています。

短時間での集中的な練習の効果

1. 反復練習の効果

運動学習において反復練習は基本的な方法であり、特定のスキルの習得には反復が不可欠です。研究によれば、短時間で多くの球を打つことは、モータースキルの初期段階において特に有効であり、動作の「グロッシング」(大まかな形の獲得)を促進します。

研究論文の例
『Journal of Sports Sciences』に掲載された研究では、短期間での集中的な練習が初級者のパフォーマンス向上に効果的であることが示されました。

2. 過学習の効果

過学習、つまり同じスキルを必要以上に練習することは、長期記憶にスキルを定着させる効果があります。ただし、これには適度な休息や他の活動とのバランスが重要であるとも指摘されています。

短時間での集中的な練習の限界

1. 疲労とミスの増加

短時間で多くの球を打ち続けると、疲労が蓄積しやすくなります。これにより、テクニックが乱れたり、怪我のリスクが高まる可能性があります。運動学習の観点からは、効率的な練習の間には適切な休息が必要であるとされています。

研究論文の例
『Medicine & Science in Sports & Exercise』に掲載された研究では、疲労が蓄積するとモータースキルの精度が低下することが報告されています。

2. スキルの質の低下

集中的な練習は数量を増やすことができますが、質の低下を招くこともあります。特に精密なスキルが要求されるゴルフスイングのような技術では、疲労が原因でフォームが崩れることがあります。

最適な練習方法

運動学習の理論に基づくと、短時間で多くの球を打つ練習方法は、特定の条件下で有効かもしれませんが、全体的なスキル向上と維持のためには、質を重視した練習が推奨されます。また、適切な休息を取り入れることで、疲労を管理し、練習の質を保持することが重要です。

総じて、ゴルフスイングの習得においては、量より多くのボールを打つ練習方法は、特定の条件下で有効かもしれませんが、全体的なスキル向上と維持のためには、質を重視した練習が推奨されます。また、適切な休息を取り入れることで、疲労を管理し、練習の質を保持することが重要です。

総じて、ゴルフスイングの習得においては、量よりも質を重視すること、適切な休憩を取りながら効率的に練習することが運動学習の理論に基づいて推奨されます。これにより、技術の正確さと持続可能性が向上し、長期的に見ても効果的なスキルアップが期待できるといえます。