グリップと唯一の接点 手のひら vol.178

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ゴルファーのケアを行う上で一番大切に考えている場所、それは「手のひら」です。もう一つ手のひらと同等なのが「足の裏」。とても大切に考えています。もちろん肩関節や股関節も重要であることは変わりませんが、そういった大きな場所に目が行きがちですが、唯一クラブと接触する手のひらと、地面と唯一接触する足の裏の感覚は、ゴルフパフォーマンスを上げていく上で非常に大事だろうと考えていきました。

ということで、今日は手の話です。手には複数の感覚器があり、それぞれが異なる種類の刺激を感知します。主な感覚器は以下の通りです。
生理学や運動科学の分野の情報なので、珍しいものはないのですが、ケアだけではなく鍛えることも可能なようですので、ゴルフ用にアレンジして記載しています。

メルケル細胞(Merkel’s disks) 

これは触覚受容器で、特に持続的な圧力やテクスチャを感じるのに適しています。手の指先に多く存在し、細かい物の触感を識別するのに役立ちます。

触覚とテクスチャ(触感や質感)の感覚

細かいテクスチャの物質を触る練習を行う。例えば、さまざまな粗さの砂紙や布を使い、目を閉じてそれぞれの感触を識別するトレーニングをする。小さい物を指でつまむ練習をして、異なる物の硬さや表面の感じを区別する。

マイスナー小体(Meissner’s corpuscles)

これも触覚に関連する感覚器で、特に軽い触れる感触や動きを感じ取るのに敏感です。これらは主に手の指先や掌に位置しており、滑らかな表面をなぞる時などに活動します。

軽い触覚と動きの感覚

軽く物を指で撫でる練習をして、その軌道を感じ取る。紙片や薄い布を手の上に置き、わずかな動きも感じ取れるように集中する。

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パチニ小体(Pacinian corpuscles) 

深部圧力と振動を感知します。これらは手の深部に位置し、高周波の振動を感じ取る能力があります。

振動感覚

振動する物体、例えば振動する携帯電話や電動マッサージ器を手に持ち、その感覚に慣れる。ゴルフクラブを使って軽く地面をたたいて、振動を手を通じて感じる練習。

ルフィニ終末(Ruffini endings) 

手の皮膚に存在し、皮膚の伸びやねじれを感じるのに役立ちます。これにより、手が物を握る際の力加減を調節するのに役立ちます。

皮膚の伸びやねじれの感覚

手や指の皮膚をゆっくりと伸ばすストレッチを行い、皮膚の感覚に注意を向ける。ゴムバンドやバルーンを手で操りながら、皮膚の引っ張られる感覚に焦点を当てる。

実践手の感覚UP

これらの感覚器は、手が複雑な動作や細かいタスクを実行する際に重要な役割を果たします。例えば、書く、タイピングする、または小さな物をつかむ動作などです。それぞれの感覚器は異なるタイプの刺激に反応し、手の感覚的な対応を高めることで、より正確かつ効率的な動作が可能になります。練習を定期的に行うことで、ゴルフグリップ時にクラブとの微妙な接触感をより良く感じ取ることができるようになると思います。感覚器の鍛え方には個人差があるため、自分に合った方法を見つけることが重要です。また、これらのトレーニングはプレー前のウォームアップとしても有効であるでしょう。

1. テクスチャーフィーリング

様々な質感の物体を用意し、目を閉じてそれらを手で触って識別します。このトレーニングは、手の感覚受容体を活性化し、異なるテクスチャーを感じ取る能力を高めます。

2. コイン操作エクササイズ

小銭を使って、手のひらの上でコインを動かしたり、指の間でコインをすり抜けさせるなどのエクササイズを行います。これにより、指の細かな動きと感覚の調整力が向上します。

3. ブラインドフォールド・アート

目隠しをして粘土やプレイドーを使い、特定の形を作るエクササイズです。感覚に頼りながら形を作ることで、手の感覚が鍛えられます。

4. 砂や米の中での物体探し

大きめのボウルに砂や米を入れ、その中に小さな物体(ビーズやボタンなど)を隠します。目を閉じて、指先でこれらの小さな物体を探し出します。この活動は指先の感覚を敏感にします。

5. ハンドマッサージ

自分自身の手をマッサージすることで、手の感覚を活性化させます。特に、指の関節や手のひら、手首を集中的にマッサージします。

6. 指先ピンチリフト

小さな物体を指先でつまんで持ち上げ、安定させるトレーニングを行います。これにより、指の精密な動きと感覚が向上します。

これらのエクササイズは、手の感覚の敏感さを高めるだけでなく、手のコントロール能力や器用さも向上させるため、様々な日常活動や特定のスキルが要求される趣味・職業においても有益です。定期的にこれらのエクササイズを行うことで、手の感覚能力を効果的に高めることができます。

最後に

たくさん練習を積んでいると、グリップを握りっぱなし手が硬くなることがあります。なかなか調子が上がらないという時、スイングの動きにばかり注目せずに、まずは唯一のグリップ接点である「手のひら」を触ってみてはいかがでしょうか。