植物性・動物性プロテインと腸内環境vol.71

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患者さんの腸内環境改善に取り組んでおられる医師の多くが、プロテイン摂取に否定的なことがあります。腸にカスが溜まると言われる方もいます。ただ、腹痛やガスが溜まりやすいなどなければいいのではという意見もありました。植物性プロテインとホエイプロテインが腸内環境に及ぼす影響について、多くの研究が行われています。調べてみました。

植物性プロテインの影響

植物性プロテインを多く含む食事は、腸内細菌群の多様性を増加させ、炎症を抑制するバクテリアの数を増やすことが示されています。これは、植物性食品が豊富に含む食物繊維や他の生化学的な要素が、有益な腸内細菌の栄養源となり、健康的な腸内環境を促進するためです。植物性プロテインには、動物性プロテインよりも抗炎症性があり、心血管疾患や肥満のリスクを減少させる可能性があると考えられています​ (MDPI)​。

ホエイプロテインの影響

一方、ホエイプロテインは消化吸収が速く、筋肉合成に必要なアミノ酸、特にロイシンを効率的に供給することから、筋肉増強には適しています。しかし、腸内環境に対しては、植物性プロテインと比べてプロ炎症性の影響を与える可能性があり、特定の有害な腸内細菌の増加や、疾患発生に関連する代謝物の生成を促進する可能性が指摘されています​ (MDPI)​。

総合的な健康への影響

腸内細菌群は、栄養素の代謝や免疫系の調整に重要な役割を果たしており、その組成は全体の健康に直接影響を与えます。植物性プロテインが豊富な食事は、長期的には腸内環境を改善し、炎症を減少させる効果がありますが、ホエイプロテインは特定の条件下での使用に適している可能性があります。それぞれのプロテインの選択は、個々の健康状態や目的によって異なるべきです​ (MDPI)​​ (MDPI)​。

以上の知見は、健康を維持し向上させるために、食事に含まれるプロテインの種類を意識することの重要性を示しています。植物性プロテインとホエイプロテインの選択は、個々の健康目標や腸内環境の状態に応じて行うべきでしょう。