ゴルフイップス予防と性格分析 vol.180

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ゴルファーのイップスについて調べていたところ、未だ解明されていない部分が多いことがわかりました。
その中で有益とされる解決方法などいくつかコラムで記録しておきたかったのですが、周囲では長期間悩み続けているゴルファー、ある特定の場面だけ兆候が出てくるゴルファー、自覚しながら解決策も見つからぬままツアーを戦っていたり…。

明らかな解決法が解明されていない中で、(仮説として)なりやすい傾向がわかればある程度予防できないものか…、性格分析などを用いて調べてみました。これは特に私自身を含めて、コーチやトレーナーなど選手の周囲にいる方が知っておくべき内容かと考えております。
ご興味あれば一読いただけると幸いです。

ゴルフイップスとは

ゴルフのイップスは、競技中に突然発生する不随意の筋肉の痙攣であり、特にパッティングやアプローチ時に問題となることが多いようです。この状態は、一部のケースで過剰な練習による特定筋肉の使用や、極度のパフォーマンス不安によるものとされています。

神経学的な観点から見ると、イップスは局所性ジストニアと関連があり、これは特定のタスクを実行する際に筋肉が不随意に収縮する状態です。このジストニアは、脳の基底核の処理エラーが原因である可能性が指摘されています。精神的ストレスがこれを悪化させる場合もあるようです。

イップスの治療には、技術や装備の変更が有効な場合があります(下記に詳細)。例えば、グリップの変更や異なるパターの使用が役立つことがあります。また、リラクゼーションや可視化などのメンタルスキルトレーニングも有効です。重度のケースでは、ボツリヌス毒素注射や抗コリン薬、ベンゾジアゼピンなどの薬物治療が考慮されることもあります​ (BrainFacts)​​ (Mayo Clinic)​​ (Mayo Clinic)​。

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イップスの予防

イップスの予防については、完全に防ぐ方法はまだ明確に確立されていないものの、リスクを低減するためのいくつかの戦略が提案されています。これには以下のようなアプローチが含まれます

定期的な休息とリカバリー
過度の練習は筋肉の過使用につながり、イップスを引き起こす可能性があるため、適切な休息と回復期間を設けることが大切です。

メンタルトレーニング
精神的なプレッシャーや不安がイップスの引き金となることがあるため、リラクゼーション、マインドフルネス、ポジティブな思考のトレーニングなどのメンタルスキルを磨くことが推奨されます。

技術的な変更と適応
グリップの変更や異なる器具の使用など、パフォーマンスのスタイルを微調整することで、筋肉の使用パターンを変え、イップスのリスクを減らすことができます。右利きゴルファーが、左で打ってみるという一例もありました。

専門家による評価と指導
定期的にコーチや専門家のもとで技術を確認し、潜在的な問題を早期に特定して対処することが有効です。ある特定のパターンを自覚と他覚を照らし合わせるなどすることで原因を見つけ改善された一例もありました。

これらの戦略は、イップスの発生を完全に防ぐ保証はありませんが、リスクを管理し、発生する可能性を減らすのに役立つかもしれません。プロのアスリートや競技者は、特に競技のプレッシャーが高い状況でのパフォーマンスを向上させるために、これらの戦略を組み合わせて使用することが一般的なようです。

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性格特性や要因

ゴルフイップスに陥る特定の状況や性格特性については、複数の要因が関連していることが研究で指摘されています。主な要因は以下の通りです

状況的要因

高圧力の状況
特に競技中や重要な場面でのプレッシャーが、イップスのトリガーとなることがあります。競技レベルが高い場面や大切な試合でのパフォーマンスが求められる時に、イップスが発生しやすくなるようです。

繰り返しの動作
ゴルフのように同じ動作を何度も繰り返すスポーツは、イップスに陥りやすいとされています。この反復が、特定の筋肉や神経の過剰使用につながることがあります。

性格特性

完璧主義
高い自己期待や失敗への極度の恐れを持つ人々、すなわち完璧主義者は、イップスに陥りやすいと考えられています。これは、パフォーマンス中に過度に自己意識が高まり、本来のスキルを発揮できなくなるためです。

不安傾向
緊張や不安を感じやすい性格の人も、イップスに陥りやすいです。特にパフォーマンスに対する不安が高い場合、その精神的圧力がパフォーマンスの質を下げる可能性があります。

これらの要因は個々のアスリートの心理的、物理的な特性や状況によって異なり、イップスのリスクを増加させる可能性があります。イップスの予防や対処には、これらの要因を理解し、適切なメンタルトレーニングや物理的アプローチを取り入れることが重要です。

Group of children in different clothes and hats. 3D illustration.

16 personalities

MBTI(マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標・MBTIとは マイヤーズ=ブリックス・タイプ診断(Myers Briggs Type Indicator)の略称で、その人の認識・決定理由・処理方法などを自己申告し、それをもとに16タイプの性格に当てはめて診断する自己申告型の診断テストです。)に基づく、16のパーソナリティタイプとイップスに陥りやすさの間に直接的な科学的根拠はありませんが、各タイプの特徴を考慮に入れた指導はあって良い予防策ではないかと考えていました。

この勝手にランキングは、特定の性格特性(例えば、不安感、完璧主義、自己意識の高さなど)がイップスにどのように影響を与えるかを考慮しています。ただし、このランキングはあくまで独自なものであり、発症原因は複合的であることが上記でわかっておりますので、個々のケースに必ずしも当てはまるわけではない点をご理解ください。

以下に、イップスに陥りやすいと考えられる上位5位のMBTIタイプを挙げます。自身がランキングをつけながら…INFJ=第2位のタイプであったこと(笑)。ということで、根詰めないように気をつけて取り組みたいと思います。

① INFJ (提唱者)

内向的で直感的、感情に敏感で、理想主義的な傾向があります。高い自己意識と完璧主義がパフォーマンス時のプレッシャーとなることがあります。

② INFP (仲介者)

強い個人的価値観と理想を持ち、不安やストレスに敏感です。新しい状況や批判に対して過敏に反応することが、パフォーマンスの障害になることがあります。

③ INTJ (建築家)

高い目標設定と計画性を持つ一方で、予期せぬ変更やプレッシャーに対して固執することがストレスの原因となることがあります。

④ ENFJ (主人公)

他者からの承認や評価を重視し、高いエンパシー能力を持つことから、他人の期待に応えようとするプレッシャーがパフォーマンスに影響を与えることがあります。

⑤ ISTJ(管理者)

体系的で順序立てて物事を進める性格ですが、計画通りに進まない状況に直面した際のフレキシビリティの欠如が、パフォーマンス不安の要因となることがあります。

これらの分析は、各タイプの一般的な性格特性に基づいていますが、イップスの発生や管理には個々の生活環境やストレスの扱い方が大きく影響します。選手の性格特性をトレーナーやコーチが知ることにより、限りなくイップスに悩む選手を増やさずに済むことができたらとの思いで、知らべてみました。選手の方もこれらの情報を自己理解の一助として、適切なメンタルトレーニングやストレス管理技術の習得に役立てていただけたら幸いです。