「クラブ意識の高い選手は練習量が少ない」と聞いたことがありますでしょうか…または「クラブ意識の高い選手はスランプに陥りにくい」とも。 この観点は、スポーツ心理学や運動科学において注目されるテーマで、クラブ意識が高い選手がスランプに陥りにくい理由は、以下の要素に基づいて考えることができるようです。
どうしてこのテーマのコラムを書こうとしたのか。それは日頃、患者様や選手との話のテーマは、体の使い方、つまり「体意識」が占める割合が多いからです。ではなく「クラブ意識」とは。これは緊急事態なのか単に無知だったのかわかりませんが、「クラブ意識」調べてみました。
ミネソタ大学の研究では、外部焦点(例:クラブの動きに焦点を当てること=クラブ意識)と内部焦点(例:身体の特定の部位に焦点を当てること=体意識)を用いたトレーニングがゴルフのパフォーマンスに与える影響を比較しています。この研究では、特に初心者において、外部焦点がゴルフのショットの正確性を向上させることが示されています (University Digital Conservancy)
外部に意識を向けること(外部焦点)がパフォーマンスに与える影響について、いくつかの重要な点を紹介します。外部焦点とは、運動の効果(たとえばゴルフではボールの飛行軌道やターゲットへの到達)に注意を向けることです。これに対し、内部焦点は身体の動き自体(たとえば腕の動きや立ち位置)に焦点を当てることを指します。どちらも必要なことなのですが、それぞれの利点は知っておきたいところです。
外部焦点の利点
パフォーマンスの向上
研究によると、外部焦点は運動の正確性と効率を向上させることが示されています。たとえば、ゴルフでの正確なショットや、他のスポーツでの速度と反応の改善が報告されています 。
自然な動き
外部焦点は運動をより自然で流動的にするとされています。これは、運動者が意識的な制御を減らし、動作をより自動的に行うためです 。
学習と保持の促進
外部焦点は新しいスキルの学習と長期記憶に有効であるとされています。特に初心者が技術を習得する際に効果的です 。
ストレスとプレッシャーの軽減
競技中のプレッシャーやストレスが高い状況でも、外部焦点はパフォーマンスの維持に役立つと報告されています。これは、焦点を結果に向けることで、過度の緊張や不安を回避できるためです 。
内部焦点の利点
技術の精緻化
内部焦点は、身体の特定の動きに注意を向けることにより、その技術の精度と細部の習得を促進します。これにより、特定のスポーツ技術の微調整が可能になります。
身体感覚の向上
内部焦点を用いることで、選手は自身の身体感覚をより鋭敏に感じ取ることができます。これにより、正確な身体の位置取りや動きが求められる技術において有利となります。
自己調整能力の向上
自分の身体の各部分がどのように動いているかを意識することで、選手は自己調整のスキルを高めることができます。これは、技術の修正や改善を迅速に行う上で有効です。これらの利点は、特に技術的な精度が求められるスポーツや、細かい動作の調整が重要な場面でのパフォーマンス向上に寄与します。
研究結果は、外部焦点がゴルフを含む多くのスポーツでのパフォーマンス向上に寄与する可能性を示しています。トレーニングや実践において外部焦点を意識的に取り入れることで、スキルの向上やパフォーマンスの最大化が期待できるでしょう。