持続可能なアスリートサポートシステムに必要なこと vol.192

過去にプロテスト会場や、ツアー会場で見てきた景色の中に、今調子の良い選手、合格を期待されている選手の周りにはサポート陣を含めて人が多いということがありました。しかしながら、選手が調子を崩し、ランキングを下げると、その数は見て分かるほどに減っていきます。

用具メーカー側から考えれば、ブランドの露出、製品の宣伝、またはCSR活動としての価値があるかないかの判断であれば当然のことでしょう。やむを得ないことと考える方も少なくないはずで、私も理解できます。しかしながら、選手の応援ということで考えた場合、本当にこれでいいのでしょうか。

人生という枠組みで考えた場合、人生の困難な時期には、特に支援が必要とされるものです。良い時だけでなく悪い時にも隣にいてくれる人の存在は、挑戦に立ち向かう勇気や希望を与えます。また、そういった支援は、受ける側だけでなく、提供する側にもポジティブな影響を与えることが多いはずで。そして人間関係が深まり、信頼と絆が強化されることで、本当の連帯感が高まるはず。選手が困難に直面した際に回復力を持ち、長期的に成長し続けるための基盤を提供するのは一体誰なのでしょうか。

ただ、ツアー会場で見る景色の中には、こうした減数のケースばかりではありません。本当に応援してもらえる選手というのは、人が離れないわけです。サポートする人々が、限られた資源(時間やお金)をどのように配分するかは、その人の価値観や社会の経済的実情に大きく依存します。成功していると見なされる場所や個人に人々が集まるのは、その成功が他の潜在的な利益(経済的リターン、社会的地位の向上など)をもたらすと考えられているからかもしれません。

わたしは仕事柄、選手に近い立場にいるため、こうした付いた離れた、またはファンが減ってしまう光景を何度も見てきましたが、こうした結果にならないために選手には、何が必要なのか、まとめてみました。

選手に必要なこと

コミュニケーションの維持

サポーターやスポンサー、コーチと定期的にコミュニケーションを取り、進捗や課題を共有することが重要です。透明性を保つことで、信頼関係を強化し、長期的な関係を築くことができます。

感謝の表現

支援してくれる人々への感謝を定期的に表現すること。小さな感謝のメッセージや、成果を共有することで、サポーターに対する評価を示すことができます。

自己管理とプロフェッショナリズム

体調管理、心理的な健康、スキルの向上に努めることで、支援者に対して自己投資をしているという印象を与えることができます。これにより、サポートの価値を高めることが可能です。

目標設定と進捗の共有

短期的および長期的な目標を設定し、それに向けた進捗をサポーターと共有することで、彼らの参加感と投資感を維持します。

ネットワークの拡大と多様性の保持

異なる背景を持つサポーターを受け入れることで、異なる視点やスキルを活用し、より幅広い支援を得ることができます。

これらのアプローチは、応援者やアスリート双方にとって有益な関係を築く上で役立ちますし、困難な時期でも支援が途絶えることなく続くようにするための鍵となることがあったらと願うばかりです。