ゴルファーの手・肘を襲う一般的な怪我・傷害 vol.194

怪我や外傷の種類

ゴルフは、特有の負荷によるリスクを伴うスポーツです。特に、繊細なスイング動作は、指、手、肘といった部位に大きな負担をかけることがあります。このコラムでは、これらの負傷に焦点を当て、ゴルフを愛するすべてのプレーヤーが遭遇しうる問題と、その予防及び対処法について深掘りしていきます。プレーを続けながら健康を守るための知識を共有することで、より多くのゴルファーが安心してグリーン上での時間を楽しめるようになることを目指します。

指の障害や外傷

挫傷(打撲)

直接的な衝撃により指が打撲される。

骨折

指の骨が折れること。閉じた骨折と開放骨折があります。

腱鞘炎

指を動かす腱の周囲の腱鞘が炎症を起こす。

突き指

スポーツ中に球などが直接指に当たり、関節が損傷すること。

手の障害や外傷

手根管症候群

手のひら側にある中央の神経が圧迫され、手や指に痛みやしびれが生じる。

複雑性局所疼痛症候群(CRPS)

手に激しい痛み、腫れ、色の変化が見られる状態。

ドケルバン病

親指の基部の腱鞘に炎症が起こる。

手首の障害や外傷

手首の骨折

特にスキャフォイド骨(舟状骨)の骨折が一般的。

手首の捻挫

手首の靭帯が伸ばされるか部分的に裂ける。

腱炎

手首を動かす腱が炎症を起こす。

肘の障害や外傷

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

肘の外側に痛みが生じる。主に繰り返しの運動が原因。

ゴルファーズ肘(上腕骨内側上顆炎)

肘の内側に痛みが生じる。

肘の骨折

肘関節を形成する骨が折れる。

これらの障害や外傷は適切な診断と治療が重要です。場合によっては手術が必要なこともありますが、多くは保存的な治療、物理療法、リハビリテーションで改善することが可能です。特に、手や肘は日常生活で頻繁に使用する部位のため、早期の適切な介入が重要です。また我々のような接骨院で、漫然と長期的に受診しても改善しないケースは絶対に避けなければいけません。先ずは状態を把握し、治療手段を選んでいきましょう。

手や肘の神経障害

指の神経障害

デジタルニューロパチー

指の神経が圧迫されたり損傷を受けたりすると、指先に痛みやしびれが発生します。しばしば閉じ込められた神経が原因です。

手の神経障害

手根管症候群

手の平の中央を通る正中神経が手首の手根管内で圧迫されると、手のひら、親指、人差し指、中指、および薬指の一部に痛みやしびれが現れます。

ウルナー神経障害

肘の近くでウルナー神経が圧迫されると、手の小指と薬指にしびれや痛みが現れることがあります。

手首の神経障害

手首のウルナー神経障害

手首のガイオンの管内でウルナー神経が圧迫されると、手の握力の低下や小指、薬指の感覚異常を引き起こします。

肘の神経障害

キュビタルトンネル症候群

肘の内側のウルナー神経が圧迫されることで、手の小指と薬指に痺れや痛み、筋力低下が起こります。

ラジアルトンネル症候群

肘の外側の半径神経が圧迫されると、肘から前腕にかけての痛みが生じ、指の伸展や手首のバックの動作が困難になることがあります。

これらの神経障害の診断には、患者の症状の詳細な評価、物理的検査、必要に応じて神経伝導速度検査や電気筋肉図(EMG)などの神経機能検査が用いられます。治療は、障害の原因や重症度に応じて、保存的な治療(装具の使用、物理療法、薬物療法)から手術的介入までさまざまです。これらの障害に対して適切な診断と治療を行うことで、症状の改善と機能回復を目指します。これらすべては専門医の受診となります。

Man relaxing with a book by the window in a log cabin.

解決策

1. 適切なウォームアップとストレッチ

プレイ前に十分なウォームアップとストレッチを行うことで、筋肉と関節を柔軟にし、怪我のリスクを低減します。特に、手首、肘、肩の周りの筋肉を中心にストレッチを行うことが重要です。

2. 正しいフォームの習得

プロの指導を受けて正しいゴルフスイングの技術を習得することが重要です。不適切なスイングフォームは、手首や肘に不要なストレスをかけ、傷害の原因となります。

3. クラブの適切な選択

自分に合ったクラブを使用することで、無理な力が加わることを防ぎます。クラブが重すぎたり、長すぎたりすると、スイング時に余計な力が必要となり、怪我のリスクが高まります。

4. 適切なグリップ

クラブの握り方が硬すぎると、手首や手の筋肉に過剰な圧力がかかります。リラックスした握り方を心掛け、クラブを握る力は一定に保つようにしましょう。

5. 定期的な休息

長時間のゴルフセッションや連続したプレイは避け、適切な休息を取ることで体の回復を促します。特に痛みを感じた場合は、無理をせず早めに休むことが重要です。

6. 補助具の使用

手首や肘のサポーターを使用することで、関節を安定させ、怪我を予防することができます。特に既往症がある場合や、痛みが出やすい人には効果的です。ただしサポーターを離せない状態は理想とは言えません。なかなか治らないからこの方がいいという声も理解できますが、常時補助具をつけることは、筋力低下にもつながりますので、装着する時間を調整していきましょう。