どの医療機関に行こうか迷った時に読むコラム vol.196

どこに行けばいいか

初診の患者様で、医師の見解を伺っているケースと、長年痛みに悩んではいても、どこにも行かず最初に接骨院に訪れる患者さんもおられます。勿論症状により当院で対応することで解決できることもあります。ただ、怪我や慢性的な関節痛、筋肉痛を抱えている患者さんにとって、医療提供者をどのように選ぶかは重要な問題です。

実際には、症状や状態に応じて、整形外科医の診察を受けることが最適な場合もありますし、接骨院や他の非医療の専門家からのケアが役立つこともあります。理想的には、これらの選択肢をバランス良く組み合わせることが望ましいでしょう。

整形外科の役割

整形外科医は、特に骨折や重度の軟部組織損傷、神経障害など、”明らかな”医学的介入が必要なケースにおいて重要な役割を果たします。画像診断を含む詳細な医学的評価、手術が必要な場合の治療、薬物療法など、整形外科医の専門知識と技術が求められます。ただ患者さんにとってはこの”明らかな”というラインがわからないわけです。

接骨院の役割

一方、接骨院では、ケガの応急処置、怪我後のリハビリテーションや慢性的な痛みの管理に焦点を当てた治療が行われます。物理療法やマッサージ、運動指導など、患者の日常生活の質を向上させるためのサポートを提供します。例えば整形外科医は主に「診断が役目」でありますので、直接手を施す(マッサージやストレッチ)先生は皆無に近いと思います。その代わりリハビリ室の理学療法士さんが手を施すわけです。どんなにいい医師でも、このリハビリが合わないことで、他院を選ぶというケースは避けられないでしょうから、鍼灸院・接骨院やその他のところに患者さんが通われるのは当然と言えるかと思います。

A doctor is seen writing notes on a clipboard in a well-lit hospital corridor, with plenty of space for additional information.

バランスの取り方

適切な診断の確保

最初に整形外科で適切な診断を受けることで。これにより、症状の原因が明確になり、適切な治療計画が立てられます。
最初に行った方がいいか悩まれている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

総合的な治療アプローチ

診断後、医師の推奨に基づいて、接骨院を含む他の治療オプションを組み合わせることが、症状の改善につながることが多いです。ただし他院に通院することを推奨されない医師もいらっしゃいますので、承諾を得るなど会話は必要かと思います。

定期的なフォローアップ

症状の変化に応じて、整形外科医と定期的にフォローアップを行いながら、接骨院での治療を続けることが、効果的な治療結果を得るためには重要です。こうしたケースは、当院でも最近増えています。医師にしかできないこと、我々柔道整復師が得意なことがありますので、両立ができることが理想かと思います。中には接骨院・整骨院の通院を全く推奨しない姿勢の医師もおりますが、それにより患者様のご都合がよくない場合は、他の整形外科を受診されるか、最寄りの治療院・接骨院に相談をするといいと思います。連携の取れる医療機関を紹介してくれるかもしれません。

治療の選択は、患者さん一人ひとりの具体的な症状や状態、生活スタイルに合わせて柔軟に調整することが大切です。また、医師や治療者とのコミュニケーションを密に取り、自身の健康状態について正確に理解することも重要です。このようなアプローチが、患者さんにとって最も有益な治療成果をもたらすでしょう。

診察のプロセスについて

診察は、患者さんから得られる様々な情報を基にして、症状の原因を絞り込む過程です。これには、患者さんの主訴(自己報告による症状や不調)、病歴、物理的診察、必要に応じて行われる追加の診断テスト(血液検査、画像診断など)が含まれます。診察のプロセスは、多くの場合、消去法を使って行われるため、複雑で綿密な思考が求められます。

情報収集

医師はまず、患者の症状の詳細、病歴、現在の健康状態、ライフスタイル、過去の医療記録など、広範囲にわたる情報を収集します。

物理的診察

次に、視診、触診、聴診、打診などの基本的な物理的診察技術を用いて、症状の原因を特定しようとします。これにより、痛みの位置、腫れ、異常な音、運動の制限など、具体的な身体の問題を確認します。

差分診断

医師は、得られた情報をもとに、可能性のある病気や状態のリストを作成します。この過程は「差分診断」と呼ばれ、様々な診断候補を考慮し、それぞれの病気に対する確率を評価します。

追加検査

症状の原因が明確でない場合、血液検査、尿検査、画像診断(X線、CT、MRIなど)、特殊な機能テストなど、さらに詳細な情報を得るための追加検査を行うことがあります。

診断と治療計画

最終的に、収集された情報と検査結果を基に診断が下され、適切な治療計画が立てられます。この計画は、症状の緩和、病状の改善、再発防止を目指します。

診察の重要性と限界

診察は医療過程における基盤となりますが、常に正確な診断が得られるとは限りません。時には、診断が困難なケースも存在し、症状の原因を特定するためには時間がかかることもあります。また、医師の経験や専門知識、使用される技術の質が診断の正確性に大きく影響を及ぼすため、医師と患者とのコミュニケーションが非常に重要です。