ファンクショナルなトレーニングって。vol.62

Sports young woman

少し難しそうな内容になりますが、日頃患者様や選手と話をしていると、「トレーニング」というと、重たいものを持ち上げることをイメージされる人が非常に多く感じています。

よって患者様に、動作学習を促す場合は、トレーニングという言葉を使わずに、「動作の学習」と言葉を変えることがあります。

さて、ファンクショナルトレーニングは、日常生活や特定のスポーツでよく使用される動きを模倣し、その動作を効率的に、かつ安全に行うために設計されたトレーニング方法です。

このアプローチは、脳が動作を「記憶」するというよりも、動作自体からのフィードバックを通じて学習することに重点を置いています。ここでは、そのプロセスを理解するための基本的な要点を解説します。

動作学習のプロセス

ファンクショナルトレーニングにおける学習プロセスは、主に「動作学習」と呼ばれるプロセスを通じています。動作学習は、練習や経験を通じて運動能力を改善するプロセスであり、主に次の3つの段階からなります。

  1. 認知段階
    新しい動きを学ぶ最初の段階で、運動をどのように実行するかについての認識を得ます。この段階では、動作の目的、実行のための基本的なステップや戦略に焦点を当てます。
  2. 関連付け段階
     練習を重ねることで、動作がよりスムーズで効率的になり、エラーが減少します。この段階では、特定の動作に関連する感覚的フィードバック(視覚的、触覚的など)が重要になります。
  3. 自動化段階
    繰り返しの練習により、動作が自動化され、意識的な思考なしに行えるようになります。この段階で、身体は動作に対する最適な応答を「覚えて」います。

フィードバックの役割

ファンクショナルトレーニングでは、内部と外部の両方のフィードバックが学習プロセスにおいて中心的な役割を果たします。

  • 内部フィードバック
     運動中に身体から直接得られる感覚情報です。例えば、筋肉の伸張や関節の位置感覚など、身体の動きを通じて得られる情報がこれに該当します。
  • 外部フィードバック
    トレーナーやビデオ解析から得られる指導や視覚的情報など、身体の外から提供されるフィードバックです。これは、運動の質を改善するための追加情報を提供します。

ファンクショナルトレーニングにおいて、これらのフィードバックは身体に「正しい」動きを「覚えさせる」のではなく、身体が動作によって生じる感覚や外部からの情報を利用して、より効率的かつ安全な動作パターンを自然に学習するよう促します。このプロセスを通じて、動作の効率性、安全性、そして最終的にはパフォーマンスが向上します。

まとめ

ファンクショナルトレーニングにおける動作の学習は、脳に記憶させるというイメージを抱かれる人も多いのですが、動作によるフィードバックを通じて自然に覚えるプロセスです。このアプローチは、日常生活やスポーツパフォーマンスに直接的に役立つ、自然で効率的な動きを身につけるために非常に有効といわれています。