筋肉量は多いが飛ばないvol.53

ゴルフにおける飛距離の追求は、多くのアマチュアからプロゴルファーまで共通の目標です。
しかし、飛距離を伸ばす要素は多岐にわたり、単に筋肉量が多いことが直接的な解決策とは言えない複雑な関係性があります。何年も続けたことにより恩恵が飛距離アップに出ずに、長年距離の維持に貢献したということもあるでしょう。
このコラムでは、筋肉量の影響、遺伝子の役割、そしてその他の飛距離を左右する要素について掘り下げていきます。

筋肉量と飛距離

女子プロゴルファーの平均的なドライバーディスタンスが年々伸びているところで、トップツアーで戦うためには230y以上は欲しいという意見が多数かと思います。筋肉量が多いことは、確かにゴルフの飛距離に影響を与える一因です。バランスの働きをする強力な下半身と核となる筋肉群は、スイング中に発生する力を支え、増幅させる役割を果たします。しかし、重要なのは筋肉量だけでなく、その筋肉をどのように使うか、つまり筋力の効率的な利用です。ゴルフのスイングは、力の連鎖反応であり、この連鎖を最大限に活用するには筋肉の協調性と動きの正確さが重要となります。例えて言うのであれば、INBODYでスコア83点(かなりいい点数)という女子プロゴルファーのドライバー平均飛距離が215yということがありました。勿論ツアーの中で戦うには武器とは言えない。今では動作改善のトレーニングにより最大250yまで伸びている選手ですが、持っているけど使えていない、持ってないけど最大限使っているという両局あるということです。

遺伝子の役割

ここ10年くらいで、遺伝子解析にかかる費用が安価になり、一般の人が手に届く価格となりました。人一人の解析に10年近くかかっていた遺伝子解析が、数日で出来るように進化してきた恩恵です。遺伝子は、筋肉の質、身体の柔軟性、筋肉を構築する能力など、スポーツパフォーマンスに大きな影響を与えるさまざまな要素に影響を及ぼします。例えば、FTO遺伝子は肥満と関連があり、ACTN3遺伝子は筋力と速さに関係していると言われています。これらの遺伝子によって、一人ひとりの身体的能力には生まれながらにして差が存在します。しかし、遺伝的なポテンシャルはあくまで一要素であり、訓練、技術、戦略によって大きく変わることができます。

飛距離を伸ばすその他の要素

  • テクニック
    効率的なスイングメカニズムが、筋肉の力を最大限に活用し、飛距離を伸ばします。正確なスイングパス、適切なボディターン、タイミングの良い手首の使い方などが重要です。
  • 道具
    クラブの選択も飛距離に大きく影響します。シャフトの硬さ、クラブヘッドの大きさ、ロフト角など、自分のスイングに合ったクラブを選ぶことが重要です。
  • 身体の柔軟性とバランス
    筋肉量だけでなく、柔軟性とバランスも飛距離に影響を与えます。柔軟性が高いほうが大きなバックスイングを作り出しやすく、バランスが良いと安定したスイングが可能になりますが、動きを抑制する力も必要となるため柔らかければいいということもありません。

まとめ

ゴルフの飛距離を伸ばすためには、単に筋肉量を増やすだけでは不十分です。筋肉の質、遺伝的要素(脂肪がつきやすいとか、スピード特性など傾向がわかる時代)、技術、機材の選択、身体の柔軟性とバランスなど、多方面からのアプローチが必要です。最終的には、これらの要素を総合的に向上させることが、長く、正確なドライブショットを可能にします。遺伝的な要素は変えられないかもしれませんが、練習と技術の改善によって、誰もが自分のポテンシャルを最大限に引き出すことができるのです。